番い
ドアの手前には美しい金魚が優雅に番いで暮らしていた
「鮮やかね」
「綺麗でしょ」
水槽はとても大きいようだ
黒酢の壷を連想させた
金魚を見るといつも狭い水槽で息苦しいそうの見える
複数の中にいるもの息がつまりそうだ
窮屈な水の中ので溺れ水死するような妄想をしてしまう
この金魚の番いにはそうは思えなかった
世界で自分と自分と同じ人間が2人っきりになったときお互いの存
同じ風、同じ音、そして争わないこと、殺めないこと
この番いの金魚は平和そうだ
人間達の目に美しくゆったりと映る
羨ましい
「触っていい?」
「え?触るの?」
「抱っこしたい」
「それはちょっと無理かな」
誰にも触れられない手に取ることが不可能なものがそこにはあった